ごきげんよう、フィットネスセラピストの中野 ゆかです。
暦の上では5月の立夏で夏になり、7月の土用入りから8月の土用明けまでが長夏(ちょうか)です。
土用明けの翌日は立秋で秋を迎えるため、長夏は一年で最も暑い時季といえます。
ここ数年、夏の最高気温が体温越えになることも珍しくありません。「危険な暑さ」と報道されるようにもなりました。
そんな暑さに負けない身体づくりで、長夏を乗り切る東洋医学の知恵をご紹介します。
季節は四季ではなく五季!?
暑くなってくると話題になる食べ物、それはウナギですよね。
土用の丑の日はウナギ!
あなたはうな丼派?
それとも、ちょっとおごってうな重派?
名古屋めしならひつまぶし!
この土用、東洋医学の季節の考え方に関わってきます。
土用とは
1年のうち不連続な4つの期間で、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつである出典:Wikipedia
それぞれの季節の変わり目の頃が土用ですが、一般的には立秋前の夏の土用を指します。
ちょうど梅雨明けの頃にあたり、立秋前の一年で最も暑い時期です。
諸説ありますが、夏の土用の頃を東洋医学では長夏(ちょうか)とよび、ひとつの季節ととらえています。
春・夏・長夏(夏の土用)・秋・冬
長夏や夏の土用ではピンとこないので、個人的には真夏と思っています。
暑いというだけで体力を消耗し、体調を崩しやすいですね。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」でなくても、真夏の暑さに負けない丈夫な身体に整えなくてはいけません!
真夏に養生したい内臓があります!
まずは、東洋医学の考え方を確認しておきましょう。
東洋医学の基本の考え方
万物は対になる「陰」と「陽」の2つのカテゴリーに分かれ、さらに5つに分類される「陰陽五行説」に基づきます。
- 人間の臓器を臓腑(ぞうふ)と言い、対になった「六臓六腑」がある
- 六臓六腑は養生したい「五季」の季節に分かれる
- 臓腑は身体の表面や手足の指と「経絡(けいらく)」でつながり、そこには気血の流れ(エネルギーの流れ)がある
- 経絡の上には「ツボ」がある
- 病気の治療や予防に経絡やツボを活用する
六臓六腑はそれぞれに養生したい季節があり、経絡やツボを活用して体調を整えるのです。

今回のテーマは真夏でした。真夏に養生したい臓腑は「脾(ひ)」と「胃」です!
「脾」と「胃」を養生して真夏の暑さを乗り切ろう!
いよいよ本題になってきました。真夏に養生したい「脾」と「胃」について簡単にまとめていきますが、その前にもう一度、臓腑についての東洋医学の考え方を確認します。
臓器の働きやその作用全般を含め、広い意味合いでとらえています。
その中には形がなく、解剖学的には存在しない臓腑もあると考えます。
この考え方によると「脾」は脾臓のことだけでなく、すい臓とも関わってくるのです。
脾臓
- 血液中の古くなった赤血球を壊し、新しい血液を溜める
- ウィルスや細菌と戦う抗体を作る
すい臓
- 食べ物を消化するすい液を作る
- 血液中の糖分を調整するグルカゴンやインスリンを作る
このことを踏まえて「脾」について確認します。
脾とは
- 胃や小腸・大腸をコントロールする消化・吸収の働きをする
- 食べ物の消化を進め、栄養分を受け取り、栄養価の高い成分を作る
- 血が血管から漏れ出ないようにする
脾の働きが低下すると
- 食べても栄養が吸収されず、食欲そのものが落ちることもある
- 脳の栄養も養われないために考える力が落ち、迷い悩んで不眠になりやすい
- 血液とも関わるため、婦人科系のトラブルが起こりやすい
脾の働きを高めるためには
- 足の親指と脾をつなぐ「脾経」、その上にある「ツボ」を刺激する
続いて「胃」についても確認します。
胃とは
- 脾のコントロールにより食べ物を消化する
- 単に消化の働きだけでなく、食べることそのもの(摂食行動)に関わる
- 精神面とも大きく関わる
胃の働きが低下する
- 消化不良、胃もたれなど胃の不快な症状が起こる
- イライラしたり精神的に不安定になりやすい
胃の働きを高めるためには
- 足の人差し指と胃をつなぐ「胃経」、その上にある「ツボ」を刺激する
「脾」も「胃」も消化・吸収の働きをする重要な臓腑。真夏の暑さに負けないためには、しっかり食べて体力をつけるのが大切なのです!
指先のツボ刺激で内臓機能をアップ!
真夏に重要な「脾」や「胃」の養生、どうすればいいのか・・・。
答えは簡単、足指の指先にあるツボの刺激をしましょう!
六臓六腑の臓腑は、それぞれが手足の指とつながっています。その指先、爪の生え際にある「井穴(せいけつ)」という種類のツボを刺激することで臓腑の活性化。内臓を元気にしてくれます。
手足の爪の生え際の角にあるツボです。臓腑と手足をつなぐ経絡(気の流れ)の末端のツボで、この井穴を効果的に刺激できれば、その経絡に関係する臓腑を活性化できます。
井穴は気血(エネルギー)の出入り口となるツボなので、ここの刺激は効果的ですよ。脾経は親指、胃経は人差し指の爪の生え際を手の指でつまみ、爪をもむようにツボをもんで刺激します。
この井穴のつまみもみを両足とも行いましょう!
脾・・・脾経の井穴「隠白(いんぱく)」 胃・・・胃経の井穴「厲兌(れいだ)」
暑さで食が細くなったり、あっさり・さっぱりした食事に手が伸びてしまいがち。
ついつい冷たい物を食べたり飲んだりして、お腹が冷えて調子を崩す場合もあります。
脾経と胃経の刺激で乗り切りましょう!
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